デザインは、人間と道具の「あいだ」をかたちづくる行為と言える。人間と道具、人工と自然の「あいだ」にデザインがある。しかし近年、この「あいだ」は複雑化したり、見えづらくなったりしている。
これまでの「人間と道具のあいだ」は分かりやすいものだった。
「人間」と「道具」のあいだの関係を考えることがデザインを考えることと同義であり、デザインは明確に「人間」と「道具」のあいだに存在し、人にとって使いやすいデザイン、人に豊かさをもたらすデザインを探求できた。
しかし、近年、道具は社会的要請によってSDGsや持続可能性に関わるようになり、家電にしても、自動車にしても、自然素材の活用やリサイクル可能な素材の選択を求められるようになった。この取り組みでは、「人工」と「自然」の共存関係が主題であり、「あいだ」は大規模化、複雑化している。
さらに、「あいだ」そのものが曖昧にもなっている。AIをはじめとするデジタル技術の急激な進化により、現実世界と仮想世界の違いもかつてのようにはっきりとしなくなってきた。
今回のシンポジウムでは、デザインがかつてのような「人間」と「道具」のあいだにあったものとは異なってきていることを改めて確認し、現代のデザインの課題を捉えて、これからの社会に求められるデザインの役割、望ましい道具のありかたを共に考えてみたい。
石川 義宗(道具学会・長野大学)
小林 昭世(基礎デザイン学会・武蔵野美術大学)
益岡 了(意匠学会・大阪工業大学)
植田 憲(日本デザイン学会・千葉大学)
越後 正志(芸術工学会・神山まるごと高等専門学校)