小林昭世/基礎デザイン学会
ポストモダニズムは、その出現当時、特 に日本では、個々の運動とデザインがバラバラに展開されている印象があった。現在から20 世紀モダンデザインを見ると、そ の核心はデザインを機能と形、その関係 に還元して合理的に考えようとするであ り、それに対して、ポストモダニズムは、 典型的に理解されているポストモダン式だけでなく、20 世紀モダニズムに同時的に対抗的に進行した、あるいはそれ以降に進行した、スウェーディシュ・モダン、 各国でのグッドデザイン、社会デザイ , エコデザイン、インクルーシブデザイン、 さらにパターン・ランゲージ、デザイン 知識論、関係性デザイン、そして人間中心デザイン、経験デザイン、ユーザー参加、 対話的デザイン、フューチャーセンター、 オートポイエーシスモデル、などなどの方法論が一緒になったデザインの展開であったと考えられる。環境問題を例に考えたとき、20 世紀デザインでは、「環境の浄化(美化)」に始まり、デザイン分野統合の理念としての「環境形成」、「自然環 境改善」、昨今の移民問題や人間・社会問題と不可分に環境を考える NEB などへ拡大しながら論点を変えている。 デザインの道具を方法論のように知識にまで広げた時、例えばデザイン思考が示す道具は、いろいろな道具がエッジ化さ れ、混在した玩具箱のように見える。これらの道具箱を、20 世紀モダニズムの観点から理解するのでなく、ポストモダニズムの観点、つまり道具の使用が、思考と行 動における集団の変化を促し、文化的なトランジションへと変えるもの、そこではデザインの論理が合理性よりも人間主義的、データベースは常に変更される相対的なもの、デザイン目標・目的は多元的、デザイン主体については参加型プロセス、 学際的なアプローチ、多層的な関与を実現するものとして理解したい。
(武蔵野美術大学基礎デザイン学科教授)