現在、デザインの対象は多岐にわたり、対象への近接方法もまた多様である。またデザイン 行為と密接に関連する領域も、コンピューティング、ビジネス、食、医療福祉、行政、教育、 法律、倫理、と拡がりを見せている。既に「デザイン」の一語が何を指し示しているのか、 一人ひとりによってその理解や解釈は大きく揺れ動く状況にある。
そんな現在にあって、デザイナーやデザイン研究者たちはなにを「デザインの始源」とし て捉えてきたのだろうか。そしてそこに、デザインの普遍的な基礎を見出すことはできるの だろうか、それともなにをもって「デザインの始源」とすべきかは、時代により遷り変って いるものであろうか。だとすれば我々はいまなにを「デザインの始源」として見出すべきだ ろうか。
デザイン実践、デザイン史、デザイン教育、デザイン方法論をはじめとした多様なバック グラウンドを持つ各学会のメンバーからの発表とディスカッションを通じて、「デザインの 始源」、デザインが立ってよるべき根源的な視座を問いたい。